この度、栗田やすし先生が、『やすし俳句教室Ⅱ 一筋の赤い糸』を上梓されました。心よりお喜び申し上げます。
本書は先に出版された『やすし俳句教室 実作への手引き』の姉妹編となっています。
一読した印象は、前著作『実作への手引き』を作句の入門編とするなら、本著作『一筋の赤い糸』は、作句の中級編だということです。俳句、作句の根底にかかわり、俳句実作への示唆に富んでいました。
本書は以下のような3部構成になっています。
第1章は「前師に学ぶ」として、栗田先生が俳誌『伊吹嶺』の「伊吹山房雑記」に連載した記事から沢木欣一・細見綾子両先生の教えを通して俳句の基本を学ぼうとしたもの。
第2章は「実作のポイント」として、「伊吹集選後評」の中から、実作のポイントを分類整理したもの。
第3章は「俳話」として、第1章と同じく「伊吹山房雑記」の中から、俳句の実作にかかわる栗田先生の考えを記したもの。
書名となった『一筋の赤い糸』は、第1章にある俳話の題名です。その内容は、沢木先生の選の厳しさ、写生の重要性、最後に「写生重視は風を貫く一筋の赤い糸である」という言葉です。『一筋の赤い糸』というのは、運命の赤い糸のことだと思います。わたしたち伊吹嶺の会員は、写生という運命の『一筋の赤い糸』を拠り所にして、俳句の道を進んでいくことを示しています。
最後に、わたしが読んで特に勉強になった各章の題名と簡単にその内容をキーワードで記します。
【第1章】
「確かな詩因」:詩因、偶然との出会い、驚き、発見
「捨てる」:説明から感動へ、感動の根本まで捨てる
「発見」:自分の気持ちを離れ客観する、感動の発見
【第2章】
テーマごとに例句が示されその選評が記載されています。項目を選んで学ぶことができます。以下にそのテーマのみを記します。
◦発見 ◦実感 ◦驚き ◦感覚 ◦具体的 ◦季語 ◦写生
◦素直 ◦生活 ◦おかしい・切ない ◦思い ◦雰囲気
◦取り合わせ・配合 ◦象徴
【第3章】
「俳句の基本は写生」:説明の言葉、見たままを言葉に
「寄物述思」:主観と客観、事と物、思いを物に寄せる
「説明は俳句ではない」:詩因を「もの」に即して表現する
発行所:豊文社出版
発行者:石黒智子
B6判 110頁
頒価800円 送料別 |
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栗田やすし顧問
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〒458-0021
名古屋市緑区滝ノ水3-1905-2 栗田 靖 宛
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