トップページへ戻る
TOPページへ戻る
 山下智子句集『白日傘』



 このたび山下智子さんが『初霰』(平成14年)に次いで第2句集『白日傘』を、卒寿を記念して出版されることになったのは、誠にめでたいことであり、心よりお喜び申し上げたい。
 第1句集『初霰』は俳誌「風」の終刊、それにご主人の七回忌と自らの喜寿を機に再出発を期して出版されたもので、句集の「初霰」は「大学院合格祝いに山の友だちと身の貝月山へ」と前書きを付した〈初霰三角点に弾み飛ぶ〉の句に依るものであった。
 登山する者にとって三角点は永遠の憧れという。三角点に弾む初霰に智子さんの快い達成感がこめられていた。
 この度の『白日傘』は卒寿を記念しての出版である。句集の題名「白日傘」は「沖縄二句」の前書きを付す、
  
白日傘摩文仁の丘に立ち尽くす
  泣くやうに散華の崖に卯波寄す

に依るものである。摩文仁の丘は沖縄戦末期に最大の犠牲者約23万人の名が刻みまれた平和の礎が立てられている。断崖に立てばどこまでも青く澄みきった空と海に太陽の光がまばゆく降り注いでいる。そんな摩文仁の丘に立ち尽くす智子さんの、多くの犠牲者に対する鎮魂の思いが象徴されていると言えよう。

「句集『白日傘』序栗田やすし」より抜粋

句集より栗田やすし抄出

みやらびの句碑に来て鳴く磯千鳥
モネの庭歩む鍔広夏帽子
予科練生駆けし浜石蓴摘む
夏霧のかたまりて飛ぶ七合目
遠野なる河童の抱くへぼ胡瓜
白日傘摩文仁の丘に立ち尽くす
強力が担ふ二斗のご神水
白牡丹父母の遠忌に杖を曳き
吾亦紅咲けば師の句を口ずさむ
米寿祝両手で受くる桜ん坊


 
 『初霰』についで米寿に第2句集を出版する予定でいましたが、年の前半は鉄欠乏貧血に、後半は胸椎圧迫骨折に依り遅れてしまいました。幸い快癒致しまして、この度、卒寿記念として出版することにしました。
 お忙しい中を栗田やすし主宰に、平成14年から25年までの753句から350句をご選句賜りました。一句1句丁寧にご覧頂き感謝感激いたしております。その上、題名と身に余る序文を賜り重ね重ね厚くお礼申し上げます。
 「風」の時代は沢木欣一・細見綾子両先生のご指導を賜りました。私のささやかな人生の中で、何にも代え難い幸せな事でございました。
 山歩きの感動を詠めたらと軽い気持ちで俳句を始めた私ですが、はや、40年余になります。当時、「風」愛知支部長であられました栗田やすし主宰、片山浮葉先生をはじめ、多くのお仲間に支えられ助けられてまいりました。皆様に感謝申し上げます。感性も乏しく誠に不器用な私です。拙い俳句でございますが、ご高覧頂ければ幸甚に存じおります。

(山下智子さんあとがきより抜粋)

発行所:株式会社KADOKAWA
編集:角川学芸出版
発行者:群司 聡
A5版  203頁 350句
定価:本体2,700円(税別)

摩文仁の丘

【申込み方法】
著者へ直接葉書でお申し込み下さい。
〒464-0835
名古屋市千種区御棚町1−6
山下智子
定価は一部当たり2,700円(税別)です。送料などは著者にお問い合わせ下さい。

copyright(c)2003-2007 IBUKINE All Right Reserved.