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伊吹嶺叢書第52篇


 森垣一成句集『風車の丘』
             

 この度、欅句会の森垣一成さんが、伊吹嶺叢書第52篇として句集『風車の丘』を上梓されました。
 栗田先生は序文において「とても初心者の作とは思えない確かな写生句である。これは生来一成さんが俳句的なセンスを身につけていたことを示すものであろう」と紹介されています。
 句集名はドン・キホーテの舞台となったラ・マンチャの丘の風車を詠まれた句から名づけられたとのことです。
 句集名の通り本句集には海外詠が多くあります。以下に紹介させていただきます。


  セザンヌの憩ひしカフェや秋日濃し  フランス
  爽けしや古城の庭にチェスの駒     〃 
  鳥渡るピサの斜塔の旗の上     
イタリア
  秋うららゴンドラで聴く手風琴   
 〃
  月光の城門前にギター弾き     イングランド
  露けしや沙翁生家の古調度       〃
  ラ・マンチャの風車の村や葡萄熟れ  スペイン
  小鳥来る大看板にピカソの絵      〃

 どれも景がよく伝わってきて、モダンな印象が素敵な俳句です。俳句の基本に忠実で、写生に誠実に向き合われた作品が並び、姿かたちの良い句ばかりです。

 関東支部主催で、東京吟行会が開催され、横浜で行われた吟行会では


  黒南風や弾痕錆びし工作船

 HP句会で高得点を得られた作品では

  
甲斐駒の稜線蒼き星月夜

大きな景で目に浮かぶようです。

  語り部の声に更けゆく夜の秋

民話や炉話を一緒に聞いているような気持ちがします。

 身辺の句には 思いがけない軽味のある句もあります。

  水遣りの庭に顔出す夕蛙

また奥様の優しさを詠まれた句もあります。

  文机に妻のメモ書き柏餅

 最後に私が好きな句を紹介させてください。


  ペン皿にユーロの硬貨年惜しむ


 おつりのコインをペン皿に置いて 楽しかった旅の思い出に浸っている一成さんが想像されます。
 (伊藤範子)

   平成30年4月

発行所:豊文社出版
発行者:石黒智子
新書版  163頁
頒価1000円  




森垣一成さん近影

【申込み方法】
著者へ直接葉書あるいは電話、メールによりお申し込み下さい。
〒146-0085
東京都.大田区久が原4-11-5
森垣一成(本名 昭一)
電話 0337548514
Email:net-mori@nifty.com
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