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平成30年伊吹嶺全国俳句大会
 
平成30年10月6日(土)
 

 10月6日(土)岐阜市の伊奈波神社に於いて、全国俳句大会が開催された。
伊奈波神社は栗田顧問の第二句碑「寒月が鵜川の底の石照らす」が建立された場所である。
しっとりとした雨に濡れた句碑は、翠の艶が一段と増し、すっかり境内に馴染んできたように見えた。
丁度早めの七五三で晴着を着せた子を連れた若い家族にも出会った。

 午前中は同人総会が行われた。副会長加藤ゆうやさんの司会で、各種規約の確認等がなされた。
雨雲が去り昼には明るい空となり、句碑に再会しつつ神社を参拝、散策しながら 伊奈波神社参集殿へ全国から160数名の出席者が集まった。
 午後から始まった俳句大会では、総合司会田嶋紅白さん、小長哲郎同人会長の挨拶に続き、河原地主宰の挨拶、伊奈波神社役員で句碑建立に多大なお力添えをいただいた岡本太衛門様のご挨拶があった。

 総会挨拶で河原地主宰は「伊吹嶺俳句会が、いかに多くの人々に献身的に支えてもらっているか」感謝の気持ちを述べ、「心の支えは伊吹集の投句ハガキです。お顔を存じ上げなくても、皆さんの様子が分かるようになり、選句をしながら会話をしているつもりです。今日お会いできることを楽しみにしていました。栗田先生の〈日本の伝統文芸を後世に残す〉という「伊吹嶺」発刊の言葉を胸に、ますます良い俳句を作って胸を張ってください」との、温かい言葉をいただいた。

 総会では、各規約と年間行事についての議題、特別会計報告があり、いよいよ各賞の正式な発表と表彰である。

  伊吹嶺賞  内田陽子さん 「お糸船」
  新人賞   市川あづきさん
  秀句賞   眠るまで寄り添ふやうに虫の声  市川あづきさん

へ表彰があり、

  新同人  安藤一紀さん  市川あづきさん 川島和子さん
       川端俊雄さん  栗山紘和さん  富田範保さん
       山崎育子さん  渡邉久美子さん

へお祝い贈呈、主宰よりお祝いの言葉、また新同人を代表して栗山紘和さんが、「よき師、よき先輩に恵まれ、伊吹嶺という恵まれた環境に感謝し、今後ともご指導も仰ぎたい」と述べられた。

 また今年度の句集紹介では、

  八尋樹炎さんの『玄界灘』  森垣一成さんの『風車の丘』
  沢田充子さんの『花ミモザ』 河合義和さんの『自註句集 河合義和集』

にお祝いが贈られた。

 さていよいよ俳句大会である。披講は服部達哉さんと梶田遊子さん。19名の同人と、栗田顧問、河原地主宰の選句が発表された。そののち、両先生により一句一句丁寧な選評をいただいた。栗田先生は、基本に忠実な句を特選に選んだこと、河原地主宰は自然と向き合う句を心がけるようにしていることを述べられ、そのような自然詠を特選に選んだと語られた。特選句を例に挙げ、俳句は映像や写真とはちがう、気持ちが迫ってくるものを詠むことができる文芸である、とも語られた。選評後、主宰特選の国枝洋子さんへ染筆色紙が贈られた。

 第三部講演会では、我らの若き編集長 荒川英之さんが研究中の講演で、「『雪白』を読む」と題して、様々な資料、新しく出てきた資料を紐解きながら、雪白の時代の新たな考察を聞くことができた。

 懇親会場「十八楼」へは手配されたバスに乗り込み移動。司会は、掘一之さんと小原米子さん。乾杯の発声は丹羽康碩顧問。歓談ののち新同人が一人ずつ挨拶を述べ、また、伊吹嶺賞の内田陽子さんから受賞作「お糸船」について作品の背景と養蚕の現実と伝統について説明があった。

 楽しい時間は早く進み、大会もお開きとなった。閉会の言葉は加藤ゆうやさん。「伊吹嶺の大会や行事は、竹に例えると節であり、私たち伊吹嶺会員も節目を重ねて成長していく。そのように伸びていきたい」と述べられ、一本締めで閉会した。 (伊藤範子記)


約160名参加の大会会場

河原地主宰挨拶

伊吹嶺賞 内田陽子さん

新人賞・秀句賞 市川あづきさん

今年の新同人

句集出版 沢田さん、森垣さん、河合さん

俳句大会総合司会 田嶋紅白さん

主宰特選句 国枝洋子さん

講演者 荒川英之さん

懇親会の乾杯発声 丹羽康碩顧問

謝辞 栗田やすし顧問

懇親会

伊吹嶺賞・新同人を祝うネット部

栗田やすし先生の寒月句碑
 
河原地英武主宰選
特選 のけぞりて手足震はす羽化の蝉 国枝 洋子
ラムネ飲む戦争知らぬ子は古希に 酒井とし子
本棚に小さきシーサー沖縄忌 松本 恵子
崖肌の白き貝殻沖縄忌 矢野 孝子
紙魚走る父の遺愛の謡本 鈴木真理子
朝靄の包む一村踊り果つ 山本 光江
  糸取りの手を休め見る大伊吹 若山 智子
露座仏をしたたか打ちて夕立過ぐ 山本 悦子
髪洗ふ夜の教壇に立つために 荒川 英之
梅雨寒や検査着の襟かき合はす 佐賀 逸子
夏草へアウシュビツの鉄路消ゆ 山本 悦子
 
栗田やすし顧問選
特選 糸蜻蛉水に触れては翅開く 高岡 佳子
眼閉ぢサイレンを聞く敗戦日 伊藤 旅遊
船町の一膳めし屋西日濃し 中斎ゆうこ
イーゼルの真白き画布へ青葉光 武田 稜子
傍らに母居る心地夕端居 山田万里子
露座仏をしたたか打ちて夕立過ぐ 山本 悦子
  妻の名も忘れし人の涼しき眼 渡邉久美子
砕け散る波の白さよ敗戦忌 伊藤 範子
梅雨寒や検査着の襟かき合はす 佐賀 逸子
ほの赤き白夜の夕日飽かず見る 加藤 和彦
夏草へアウシュビツの鉄路消ゆ 山本 悦子
 
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