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2017年8月号 (230)
 
 句集『星月夜』                    栗田 やすし
 

 近々中川幸子さんの第二句集『星月夜』が角川学芸出版から刊行される。
 句集名「星月夜」は句集中の
  母の声聞こゆるごとし星月夜
から幸子さんが付けたものである。幸子さんのお母さんが亡くなられたのは平成十六年というから、それから十二年後に詠まれたものである。
 澄みきった夜空に耀く星を仰いで亡き母を想えば、なつかしい母の声が聞こえてくるようだという母恋いの句である。
 幸子さんにはお母さんを詠んだ句が多い。それは故郷(高岡)への思いと連なり、
  ふるさとを話す母なり柿日和
  ふるさとの鱈の白子の甘さかな
  ふるさとや身にしむ越中おわら節

など故郷を詠んだ句が多いことからも明らかであろう。
 この故郷への思いは、幸子さんが結婚以来、ご主人が九回も転勤を重ねられたことと深く関わるものと思われる。
 したがって本句集の底に流れているものは、母につながる故郷への強い思いであり、亡き沢木・細見両先生や林徹氏を詠んだ句の多いこととも深くかかわっていると言えよう。
 それは日常吟であっても同じで、個々の対象へ注がれる幸子さんの目は優しく、その作品は自ずと穏やかな幸子さんの人柄の滲むものとなっているのである。