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2023年3月号 俳日和(62)
 
  同人欄の再編

                             河原地英武


 創刊40周年を迎えた『俳句四季』がその記念企画として、今年1月号と2月号の2号連続で「俳句の未来予想」と題する特集を組み、様々な論者の見解を載せている。「伊吹嶺」編集長の荒川英之さんも2月号に文章を寄せているが、長年の沢木欣一研究により培われた揺るぎない視点と奥行きをもった卓論で、わたしはこれを伊吹嶺俳句の「未来予測」と受け止めながら読んだ。

 東日本大震災、新型コロナウイルス禍、ロシアによるウクライナ侵攻などを契機に、多くの俳人が社会的事象を句材として取り上げるようになったが、「十年後は『自然』及び『人間(生活)』に加え、世の中に対する問題意識が重要なテーマの一つとして実作の場に定着しているだろう」と荒川さんは予測する。そのうえで、沢木先生が鋭く俳句本来の「芸術性」や「文芸性」が衰弱することがあってはならないと述べ、「俳句の文芸性を守りつつ、多様性を認めてゆく清新な試みが、十年後の俳句に豊かな実りをもたらすことを期待したい」と結んでいる。

 「伊吹嶺」も創刊25周年を機に、皆が切磋琢磨できる環境を今後さらに整えてゆくことが重要だと感じている。その試みの一環として、栗田先生のご助言を踏まえつつ、本誌の4月号より全同人の作品の選をわたしが1人で担うこととしたい。まことに身の引き締まる思いだ。皆様のご了解を乞う次第である。

 わたし1人の選となるため、従来の「秀峰集」と「遠峰集」という区分を取り払い、両者を併合して、「風光集」という名の単一の同人蘭に再編する方向で考えている。風光明媚の「風光」である。麗しい句が揃うことを期しての命名だが、「風」の精神を皆で引き継いでゆきたいとの願いも込めている。