TOPページへ戻る 購読について
TOPページへ戻る
最新の俳日和へ
過去の俳日和(2021年~23年)
過去の俳日和(2018年~20年)


2024年3月号 俳日和(74)

   投句締切その他
                            
河原地英武

 毎回「伊吹集」作品の投句用紙(はがき)の「通信欄」に目を通し、他の会員にも紹介したい内容をピックアップして、「たより」のコーナーに載せるのも主宰の役目の一つである。その際、誌面の事情で少し端折ったり、一部表現を改めたりすることがあるけれど、ご海容願いたい。会員の皆さんの近況や句会の様子、さらには時事問題への関心などを興味深く拝見している。

 建設的なご提言をいただいたときは編集会議で審議のうえ、実行に移すようにしている。たとえば、郵便配達の土曜日取りやめにより、郵送の日数が従来以上にかかるようになったため、投句が締切に間に合わないのではないかと不安になり、速達で出すことが多くなった。ついては毎月「末日締切」を「末日消印有効」としてはもらえまいかとの相談をある会員の方から受けた。もっともなことで、早速採用させていただいた。「伊吹集」の投句に限っては、本年1月号の綴込み用紙から「月末消印有効」と印刷してある。ただし、選句期間の都合上、「ジュニア俳句」と「山彦集」に関しては、今までどおり「月末締切」とさせていただいている。ついでに書き添えておけば、「風光集」についても、毎月「15日消印有効」でけっこうである。むろん、ゆとりを持って早めに送ってくださる分には一向に差し支えない。

 「通信欄」に話を戻せば、自分はずっと2句組だったが、ようやく3句載せてもらえたので、もう少しがんばってみる気になったと書いている方がおられ、困惑した。本誌の俳句欄は番付表ではない。数など気にするなといっても気になるものは仕方なかろうが、肝心なのは、自分の代表句と呼び得る会心の作をどれだけ残せるかではあるまいか。わたし自身、自分の代表句はまだこれからだと思っている。
 


2024年2月号 俳日和(73)

   実作のためのガイド
                            
河原地英武

 このたび『やすし俳句教室 実作への手引』とその姉妹編である『やすし俳句教室Ⅱ 一筋の赤い糸』を一書にまとめ、『実作への手引(合本)』として発刊する運びとなった。両書ともすでに品切れで、せっかく注文の希望が寄せられても、それにお応えできずにいたが、これで安心して新会員の皆さんにも推奨できる。

 目下、校正作業の段階だが、これを機に、改めて全編に目を通した。そして気づいたことがある。わたしが日頃句会で述べていることはすべてここに書かれているという事実だ。たとえば「俳句は何かの説明ではない。説明を避けるには、動詞などの用言を極力使わないことが肝心だ」と持論のようにして説いているが、それも栗田先生から学んだことだったのである。

 俳句の入門書はこれ1冊で十分である。そう断言できる理由は2つある。一つは、何冊も類書を読んだところで畳の上の水練と同じで、俳句の腕前が上がるわけではないからだ。これと決めた1冊を教科書として読み込んだら、あとは実践あるのみ。実作に励んでほしい。もう一つは、俳句にはいろいろな主張や理念があって、入門書段階であれこれ迷っていては先に進めなくなってしまうからである。

 われわれは即物具象の俳句を目指しているが、それと異なる立場の人たちもたくさんいる。どれが正しいということではない。俳句を山にたとえるなら、登頂のためのルートがいくつもあるのと同じことである。そしてこの多様性が俳句を豊かなものにしているのだろう。ただし、ルートに迷っていると、いつまでも麓の堂々巡りに陥ってしまう。即物具象の道は難所が多いけれど、そこから見える景色も格別だ。栗田先生の本を頼り甲斐のあるガイドとして、ともに前進しようではないか。


2024年1月号 俳日和(72)

   カナリア倶楽部
                            
河原地英武

 2017年6月、有志で「カナリア倶楽部」を結成した。メンバーはわたしのような大学教師、ジャーナリスト、詩人、医療・介護・ヘルスケア従事者、農業経営者など多士済々だが、その多くは関西在住で、かつてKBS京都のラジオ番組「早川一光のばんざい人間」にかかわった人たちである。

 このラジオ番組は一九八七年から約30年つづいた長寿番組で、パーソナリティーの早川先生は「京のわらじ医者」として知られ、住民主体の地域医療を実践するかたわら、啓蒙思想家として、社会問題に関する鋭い発言を展開しておられた(2018年、94歳で没)。わたしも準レギュラーとして数ヶ月に一度スタジオにお邪魔し、番組の時事コーナーで先生と対談をさせていただいていた。

 先生のご病気による番組の打ち切り後、関係者が集まり、われわれで先生の志(「自分の身体は自分で守る。自分たちの暮らしは自分たちで守る」という自主・自立・共生の思想)を引き継ごうという話になった。各人が「炭鉱のカナリア」となって社会に警鐘を鳴らすべく、「カナリア倶楽部」というウェブサイトを設立したのであった。われわれのささやかな誇りは、365日、何かしらの情報を発信していることである。わたしは毎週火曜日の担当で、月4回のうち3回は時事解説(「かわらじ先生の国際講座」)、1回は「カナリア俳壇」という俳句添削コーナーを執筆している。「主宰日録」のなかに出てくる「カナリア俳壇」とはこれのことである。


 ネットで検索して「カナリア倶楽部」をご覧いただければ幸甚である。毎日読みごたえのある記事が掲載されているはずだ。わたしの「カナリア俳壇」への参加も歓迎している。だれでも無料で投句できる。



<< TOPページへ戻る <<最新の俳日和へ戻る
copyright(c)2003-2007 IBUKINE All Right Reserved.