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平成23年度伊吹嶺オフ句会模様
 
平成23年11月18日(金)~11月19日(土)
 
  去る1118日(金)~19日(土)に平成23年度伊吹嶺オフ句会が静岡の宇津ノ谷、鞠子宿、久能山東照宮、登呂遺跡界隈で行なわれました。静岡支部、関東支部、愛知支部の皆さんの参加のおかげで、二日間で総勢39名という、今までのオフ句会で最高の参加者を得ました。

 一日目は曇り空でしたが、日差しもやさしく、暖かい吟行日和となりました。1200に静岡駅南改札口付近での集合。静岡支部の用意してくださった「伊吹嶺」の旗に先導されて、まずは宇津ノ谷の家並み、お羽織屋、峠の明治のトンネルまで歩きました。かつては旅人達で賑わっていた街道で、家々の軒先には大きな屋号札と十団子が吊るされ、石畳が往時を忍ばせてくれます。明治のトンネルは赤レンガの内壁と坑道内のランプが風情たっぷりの国の有形文化財です。
 連歌師宗長ゆかりの月見で有名な吐月峰柴屋寺を経て、鞠子宿の丁子屋での夕食、俳句会とバスを進ませました。丁子屋のとろろ汁は広重の絵、十辺舎一九などで有名な鞠子宿の名物です。
 この日の宿泊は18名で駅前のサンパレスです。9時からの夜の句会も大変な盛り上がりで、静岡の会員さんからの差し入れのお酒に酔いしれた楽しい句会となりました。

 二日目は駅前を8時出発。この日は予報どおり雨で、皆さん足元を気遣いながらの吟行でした。
 日本平から東照宮までのロープウェイでは駿河湾をのぞみながら、紅葉の屏風谷を満喫できる予定でしたが、あいにくの雨とたちこめる霧にたたられ「絶景かな!」と言うわけには行きませんでした。二番目の吟行地は三保松原を予定していましたが、雨足も強まり、登呂遺跡への変更を余儀なくされました。大雨の中、復元の草屋へ向かう一団はやはり、関東勢でした。
 ずぶぬれの衣服を乾かす間もなく、バスは昼食と俳句会の会場クーポールへ。豪華な懐石風お弁当がうれしかったです。皆さん大変な悪天候にもめげず、充実した吟行を終えられ安堵の様子が伺われました。句会は和やかの中にも真剣に取り組む皆さんの姿が大変美しかったです。
二日間何事もなく吟行を終えられたことと共に、静岡、関東の皆様、遠方から参加してくださったネット句会の仲間達に感謝をこめて御礼申し上げます。(陽子)


丁字屋の前で

宇津ノ谷の間の宿を散策

慶龍寺で

慶龍寺許六の句碑の前で

お羽織屋の前で

宇津ノ谷の峠の途中

宇都ノ谷峠の明治のトンネル

お羽織屋の前で

柴屋寺吐月峰で句作

吐月峰で全員集合

愛知と静岡の二人

丸子宿で句作

1日目の句会

久能山東照宮では土砂降り

登呂遺跡

遺跡の中で赤米の試食

2日目の句会
オフ句会の1句(18日)(順不同)
羽織屋の卒寿の笑顔実南天 太田滋子
豆を干す坂の途中のトタン屋根 森垣昭一
吐月峰かけひの水に散り紅葉 浜野秋麦
大鷹の舞ひし丸子の奥の山 戸田ただし
宗長の遺愛の杖や残る虫 有井真佐子
茶の花や甍連なる間宿 神尾知代
落葉敷く村の高みの馬頭尊 山本法子
谷深く寄り添ふくらし蕪育つ 藤田幸子
行く秋や明治トンネル薄明り 多々良和世
刈られたる萩に冬芽や許六の碑 新川晴美
吐月峰見上ぐる庭や烏瓜 森 敏子
山を背に皇帝ダリア小六月 杉浦ゆき子
宇津の谷は屋号で呼びし石蕗の花 土本かず子
山腹に一村の墓実南天 中村たか
淀みたる七星の池雪ぼたる 磯田秀治
御羽織の口伝なめらか着ぶくれて 坂本操子
木守柿屋号を記す間宿 松本恵子
冬曇丸子の宿の無縁墓 中村修一郎
初冬の戸口に古りし十団子 磯田なつえ
小つぶなる十団子買うて日短し 齊藤眞人
神無月軒に黒ずむ十団子 武藤光晴
索道の錆びし滑車や枯むぐら

関根切子

屋号にて呼び合ふ宿場冬ぬくし 中野一灯
秋入日十団子吊る古りし宿 河村惠光
声高め団子売る婆冬うらら 安藤一紀
青竹の垣にでで虫冬籠る 伊藤克江
借景の庭に色づく烏瓜 栗生晴夫
灰吹きに銀の煙管や寺小春 佐藤とみお
雪螢連歌の寺に遊びけり 鈴木みすず
短日や背丈の低き無縁墓 藤田岳人
爪ほどの萩の冬芽や許六の碑 伊藤範子
鷹の爪干す山の日に簀を傾げ 内田陽子
神留守の戸毎に吊るす十団子 坪野洋子
御羽織を守り紅葉の谷に老ゆ 矢野孝子
宇津の宿見下す峠雀瓜

国枝隆生


オフ句会の1句(19日)(順不同)

狛犬の舌は金色(こんじき)山眠る      

有井真佐子
切り火焚く登呂の草屋に冬の雨 浜野秋麦
波のごといちごハウスや冬を待つ 戸田ただし
神廟の錠前固し冬あらし 下川辺美乃里
しぐるるや石灯籠の元和の字 遠藤斎子
神殿にとよもす太鼓冬の雨 辻 桂子
お手植のみかん色付く東照宮 佐藤博子
鎮もれる山の神廟秋時雨 杉浦ゆき子
階にあふるる雨水石蕗の花 磯田秀治
まなかひに紅葉なだるる屏風谿 坂本操子
蒲の穂のほほけし登呂の小川辺り 中村修一郎
縄文の土偶に乳房冬ぬくし 磯田なつえ
冬の雨家康廟に容赦なし 齊藤眞人
神廟の磴を流るる落葉かな 栗生晴夫
雁渡る登呂の遺跡の空低く 武藤光晴
音立てて磴にあふるる冬の雨 佐藤とみお
結びたるみくじに冬の雨伝ふ 関根切子
甲冑の空ろなる眼やそぞろ寒 鈴木みすず
神の留守登呂の草屋に雨宿り

中野一灯

神廟を並んで見入る時雨傘 河村惠光
打つ雨の滝となりたる留守の宮 安藤一紀
ひた濡れて登り来し廟冷え冷えと

伊藤克江

冬ぬくし家康公の丸メガネ 藤田岳人
穭田に雨のはげしき登呂遺跡 伊藤範子
登呂の田に色浮き立ちて初の鴨 内田陽子
棹となり雁の越えゆく登呂遺構 坪野洋子
花石蕗や縄文土偶の腰豊か 矢野孝子
海岸にとがりくる波荒れ時雨 国枝隆生
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